しんの本棚
羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子著作集(第19巻)

羽仁もと子 婦人之友社 1955年3月1日

感想

羽仁もと子の著作集に手を取ったのは、大学時代の恩師に勧められたことがきっかけだった。新社会人となった今、彼女の思想がこれほど示唆に富んでいるとは想像していなかった。 本書は単なる家政学の指南書ではなく、人生における自己実現と社会的責任についての深い考察がある。戦前という時代背景を踏まえながら読むと、現代にも通じる普遍的な価値観が浮かび上がってくる。特に、生活を営むことの本質、そして働くことの意味についての記述は、組織人として日々葛藤している自分にとって大変参考になった。 執筆の時代と現代とでズレを感じる部分も当然あるが、そうした距離感こそが思想家としての彼女の立場をより客観的に理解させてくれる。複数の論文が収録されているため、一つの思想を多角的に追うことができるのも魅力だ。思想書としての密度が高く、読み応えのある一冊である。もっと早く出会いたかったと思うほどだ。

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