グリム童話集(4)

グリム童話集(4)

ヤーコプ・グリム / ヴィルヘルム・グリム

出版社:偕成社 出版年月日:1980/07/01

偕成社 | 1980/07/01

3.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

管理職という仕事柄、論理的思考力ばかりが求められる日々から逃げ出したくて、この新書版グリム童話集を手に取りました。童話というと子どもの読み物と思いがちですが、グリムの物語はずっと深い。人間の根源的な欲望や恐怖、そして救済がこれ以上ないほどシンプルな物語の中に凝縮されています。 第4巻に収録された作品群からは、特に道徳的な教訓よりも、人生における選択の重みが伝わってきました。登場人物たちが直面する難題の数々は、現代社会の複雑な問題とは異なるスケール感ですが、むしろそのシンプルさが逆説的に深い思考をもたらします。 翻訳も洗練されていて読みやすく、通勤時間の片手間でも引き込まれます。大人が読み返すことで初めて見えてくる、人間らしさへの優しい眼差しがあるのが素晴らしい。疲弊した心を整理し、本質的なものを問い直す時間をくれる一冊です。

感想

グリム童話の第4巻を手に取ったのは、これまでのシリーズの完成度に信頼を置いていたからこそです。ところが、今回は期待と現実のズレが否めません。 翻訳の質自体は悪くないのですが、選定された作品群がやや単調に感じられました。グリム童話の魅力は、その多様性と奥行きにあるはずです。民間伝承としての歴史的価値、心理学的な解釈の余地、そして純粋なストーリーテリングの面白さ—それら複数の層が交錯することで初めて真価が発揮されるものだと考えます。 この巻では、そうした多面的な関心に応えうる作品のバランスが取れていないように感じます。新書というフォーマットの制約もあるのかもしれませんが、もう少し編集の工夫があれば、より充実した読書体験になったのではないでしょうか。 既に他の童話集や研究書で十分な満足を得ている読者にとっては、あえてこの巻を手にする必然性は薄いというのが率直な感想です。入門編としては悪くありませんが、質を重視する読書家には物足りないでしょう。

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