はるとの本棚
小説 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(下) 新装版(3)

小説 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(下) 新装版(3)

富野 由悠季 KADOKAWA 2021年4月26日

感想

富野由悠季のガンダム小説をこここまで丁寧に映像化作品に落とし込んだ例も珍しい。本書の下巻では、物語が予測していた方向へ確実に収束していく過程が、実に緻密に描写されている。 フリーランスの身だからこそ感じるのだが、キャラクターたちの信念と現実の衝突の描き方が、どこか現代的で生々しい。理想と妥協の間で揺らぎ、やがて取り返しのつかない決断へと至る流れ——それは作品の枠を超えた普遍的なドラマである。 新装版として改めて手に取れば、原作の奥行きを損なわず、映像化作品としての完成度も高い。ガンダムシリーズの中でも数少ない、悲劇的な終結を選んだ勇敢な構成だ。長く愛読している身として、この選択を支持したい。評価の高さも納得できる良質な文学作品として、多くの大人の読者に薦められる一冊である。