トルストイの思想的エッセンスをまとめた作品ですね。若き日の彼が都市文明を拒否し、大地との結びつきを求めた姿勢は理解できますし、その潔さには一定の説得力があります。 ただし、フリーランスとして実際に生きていると、この「自然に帰れ」という理想と現実のギャップが気になってしまいます。トルストイのようなアプローチは確かに魅力的ですが、現代社会における実践可能性についての議論が欠けているように感じます。 本書は確かに古典として価値があり、人生観を問い直すきっかけにはなるでしょう。トルストイの思想の一端に触れることはできます。ただ、既に彼の主要著作に接している読者にとっては、やや焼き直し感が否めません。新たな知見というより、既知のテーマの再確認といった印象です。 人文思想に深く関心のある方には手に取る価値がありますが、これから入門するなら原著を直接当たる方が良いかもしれません。悪くはない作品ですが、特に秀でた部分があるわけでもなく、という率直な感想です。