はるとの本棚
感想

サムスイルズの『自助論』が明治日本でどのように受け取られたのか、その記録を辿ってみたいという思いから手に取った一冊だ。 正直なところ、古典の翻訳書を読む際には常に緊張を伴うものだが、中村正直による『西国立志編』は想像以上に読みやすく、かつ示唆に富んでいた。「天は自ら助くる者を助く」という思想的核は、今から150年以上前の翻訳にもかかわらず、現代のフリーランスである私の心にも深く響く。自分の人生を自分で切り開くしかない立場にいると、他人や環境のせいにする思考の誘惑は常に存在する。この古典はそうした甘えを厳しく戒めてくれる。 300余人の成功立志談という構成も秀逸で、様々な時代・立場の人物の事例を通じ、普遍的な自助の精神を学べる。福沢諭吉の『学問のすゝめ』と並ぶ啓蒙書というのも納得できる説得力がある。時を経ても価値は色褪せない、そうした古典の力を改めて実感させられた。

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