本男の本棚
黄色い家(上)

黄色い家(上)

川上未映子 中央公論新社 2025年11月20日

感想

読売文学賞受賞作ということで手に取ってみました。人間が金に執着し、どうして過ちを犯してしまうのか——そういう根本的な問いかけが、この作品には確かに存在しています。 主人公・花が過去の記憶を辿りながら、知人女性の監禁事件という衝撃的な事実と向き合っていく構成が見事です。20年前の疑似家族との生活と現在が交錯する中で、人間関係の複雑さ、そして善悪の境界線の曖昧さが浮き彫りになっていく。自営業をやっていると、人間の弱さや欲望というものをよく目にしますが、この小説はそうした現実をきちんと見つめているように感じました。 文庫本で気軽に読める長さながら、心に残る重みがあります。上巻という段階で既に引き込まれてしまい、下巻が待ち遠しい。本屋大賞ノミネートというのも納得です。60代になると、人間のドラマについてより深く考えるようになったのか、こうした作品が本当に好きになります。

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