本男の本棚
深呼吸の必要

深呼吸の必要

長田弘 角川春樹事務所 2018年10月1日

感想

久しぶりに詩集を手に取ってみた。長田弘という詩人の名前は昔から知っていたが、きちんと読むのは初めてだ。 散文詩という形式で、子ども時代の思い出や日常風景について綴られている。「あのときかもしれない」「おおきな木」といった章立てで、人生のどこかで心が疲れたときに読むと身に沁みそうな内容だ。確かに、大人になるという曖昧な瞬間について、やさしい言葉で問いかけてくる。 ただ、正直に言うと、すべての作品が心に引っかかるわけではなかった。素朴で温かみのある表現もあれば、少し抽象的すぎて私のような年寄りには理解しきれない部分もある。年を重ねてから人生を振り返る身としては、もっと力強い何かを期待していたのかもしれない。 自営業で忙しい日々を送っていると、こういう穏やかな言葉たちを時間をかけて味わうのは難しい。そういう意味では、隙間時間にぱらぱらと開いて読む使い方が、この本には合っているように思う。悪くない一冊だが、特別に心を揺さぶられるほどではなかった。

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