読書メモの本棚
感想

80年近く生きてくると、世の中というのが本当に複雑で矛盾に満ちていることが嫌というほど分かってくる。正直に商売をしてきた者として、時に理不尽さを感じることもあった。この本はそうした違和感に対して、一つの明快な答えを示してくれた。 著者の異色な経歴—外交官としての華やかなキャリアから一転して拘置所の独房という極限の体験—が説得力を生む。そこで得られた人間観は、単なる机上の空論ではなく、身をもって体得したものだからだ。人間の本質に関する議論は重いテーマだが、この新書版はコンパクトながら深い。 特に印象的だったのは、正義感を振りかざすことの危険性についての指摘である。長く商売をしていると、道徳的に正しいことが必ずしも現実では成功につながらないことを知る。その矛盾を理屈ではなく、納得できる形で示してくれた点が素晴らしい。 人生の後半戦に突入した者にとって、世の中の見方を整理し、余計なストレスを手放すための良い指南書だと思う。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ