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感想

書評サイトで何度も目にした『ホテル カクタス』、評判の良さに惹かれて手に取ってみました。期待値が高かった分、どこかで裏切られるのではないかと少し構えていたのですが、杞憂でした。 このアパートは異世界ではなく、私たちのすぐ隣にあるような、でも少しだけ違う世界。帽子が、きゅうりが、数字の2が住んでいるという設定だけで、すでに物語の空気感が立ち現れます。不条理のようで、読み進めると妙に納得してしまう世界観の作り方が本当に巧みです。 挿画が多く入っているせいか、テンポよく読めるのに、一つ一つのシーンに詩情と深さがあって、読んだ後に長く余韻が残ります。大人向けのメルヘンというのは正確な表現で、子どもっぽさではなく、複雑で繊細な心情が丁寧に描かれているんです。 フリーランスという立場で、時間に余裕がある時こそ、こうした世界に浸る時間は貴重です。疲れた時の癒しというより、心が整理される感覚に近い。慎重に本を選ぶ私ですが、この一冊は心からお勧めできます。

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