橋本 美月の本棚
増補版 九十歳。何がめでたい

増補版 九十歳。何がめでたい

佐藤 愛子 小学館 2021年8月6日

感想

映画化が決定したということで、改めて手に取ってみました。年間ベストセラーにもなった話題作、やっぱり面白いですね。 佐藤愛子さんのエッセイには、年を重ねた人だからこそ言える本音がぎっしり詰まっています。世の中の理不尽なことに対する切り返しの鮮やかさ、そして何より90歳という年齢を重ねてもなお元気に発言する姿勢がいいんです。「年を取ることって実は悪いことばかりじゃない」という前向きなメッセージが、読んでいて心が軽くなります。 この文庫版には、ベストセラー後の裏話や受章時の記者会見の様子も追加されていて、そういう「その後」の話も興味深い。ユーモアに満ちているのに、どこか深い思慮が感じられるというか、痛快さと温かさのバランスが絶妙です。 同年代の著名人から若い世代まで、幅広く支持されている理由がよくわかりました。パートの休憩時間にちょこちょこ読める気軽さも、このフォーマットの良さですね。映画がどう表現するのか、それも興味津々です。