yomuzoの本棚
感想

直木賞受賞作ということで期待を込めて手に取ったのだが、率直に言って「これが賞作か」というのが正直な感想だ。 就活を控えた若者たちが、SNSと現実のズレ、本音と建前の使い分けを通じて自分たちの関係性を問い直していく。テーマ自体は悪くない。むしろ現代的で、2010年代の若者たちの心理を捉えようとする試みは評価できる。 だが読んでいて感じたのは、描写と深掘りのバランスの悪さだ。複数の登場人物の思惑や自意識が交錯する場面は時に退屈に感じられ、「で、この先どうなるのか」という引っ張る力が弱い。フリーランスという身分で、複数のプロジェクトの進行状況を管理する身としては、もう少しテンポよく話が進んでほしかった。 キャラクターも個性的とは言い難く、誰に感情移入するべきなのか迷う場面が多かった。エッセイとしては面白い視点もあるのだが、小説としての完成度という点では、正直なところ物足りなさが残る。 無駄ではない作品だが、私の期待値を大きく上回るものではなかった。

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