のんちゃんの本棚
ライオンのおやつ

ライオンのおやつ

小川 糸 ポプラ社 2022年10月6日

感想

瀬戸内の島のホスピスを舞台にした、こんなに温かくて、それでいてしんと静かな物語があるんだなと思いました。余命を告げられた主人公・雫が「おやつの時間」という日常のなかで、自分の人生と向き合う様子が本当に素敵です。 41歳になると、死生観について考えることもあります。だからこそこの物語は、単に悲しいだけじゃなくて、むしろ「今をどう生きるか」という大切なテーマが心に響きました。おやつという素朴で誰もが親しみやすいものを通じて、人生の本質が描かれているところが上手だなって感じます。 仕事で疲れた日の夜に少しずつ読み進めたのですが、ページをめくるたびに気持ちがやさしく包まれるような感覚。登場人物たちとの関わり方も自然で、その人たちのリクエストしたおやつの話なんかを読んでいると、思わず笑顔になってしまいます。 人生の終わりを見つめることの重さを感じながらも、全体を通じて愛おしさと希望に満ちている。気軽に読める文庫本だからこそ、もっと多くの人に手に取ってもらいたい作品です。

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