のんちゃんの本棚
感想

大正ロマンという響きに惹かれて手に取った一冊です。政略結婚という古典的な設定なのに、なぜか新鮮に感じられるのは、この物語の構成の妙なんだと思います。 妾の娘として虐げられていた綴が、破棄された婚約相手に再び求婚される――という導入だけで既に心つかまれるのですが、そこからの展開が本当に良い。彼が変わっていた理由、その秘密が明かされていく過程のドキドキ感がたまりません。新進気鋭の作家という肩書きも素敵で、大正時代の文化的な空気感がうまく描かれています。 仕事で疲れた日も、綴と征司のやり取りを読んでいるとほっこりして癒されました。二人の関係性が、最初の険悪さから少しずつ温かみを帯びていく様子が丁寧に描かれているのが良かった。ただ、中盤少し展開が駆け足気味になったかな?という印象もあります。それでもラストに向けて引き込まれ、読了後は心地よい満足感が残りました。 気軽に、でも十分に充実した時間を過ごせる一冊です。

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