洋子の本棚
感想

この本を手にしたのは、育児と家事に追われる日々の中で、日本という国について改めて考えたくなったからです。藤原正彦氏の議論は、確かに刺激的で、読んでいて思考が揺さぶられます。 「情緒と形の文明」という表現が特に印象的でした。グローバル化の波に飲まれ、効率性ばかりを追求してきた日本が、何か大切なものを見失っているのではないかという問題提起は説得力があります。論理一辺倒ではなく、情緒や武士道精神といった、言語化しにくい価値観の重要性を唱える視点は、新しくもあり、古き良き日本の知恵を再評価するものとして興味深い。 ただ、個人的には全てに同意するわけではありません。国際化とアメリカ化を同一視する部分や、民主主義よりも武士道精神という論旨には、やや単純化されているのではないかという違和感も感じます。 それでも、子どもたちに何を継承していくべきかを考える親として、この問題提起は価値があります。完全に同意しなくとも、自分たちの文化や伝統について深く考えるきっかけをくれる、そういう意味で良い一冊だと思います。

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