久しぶりに一気読みしてしまった。仕事で疲れた夜も、ついつい「もう一章だけ」と続けてしまうほどの引き込まれ方でした。 二つの殺人事件を軸に、時間を行き来しながら真犯人は誰なのかが少しずつ明かされていく構成が本当に上手い。データ分析が仕事柄、論理的な展開には特に惹かれてしまうんですが、この作品はその期待を裏切らない。むしろ、犯人と思わせておいて、その先にある「本当の真実」へ誘導される感覚は快感です。 何より面白いのが、被害者の娘と加害者の息子という立場の違う二人が、それぞれ父親の言動の違和感に気づいていく過程。親と子の関係、家族の秘密、信頼と嘘といったテーマが自然に織り込まれていて、ミステリーとしての興味だけじゃなく、人間ドラマとしても深い。 上巻だけで既にこのレベルなので、下巻がどう締めくくるのか今から楽しみです。気軽に読めるエンタメとしても十分、でも考えさせられる深さもある。そういう本ってやっぱり好きですね。
最近登録された他の本の感想
2026年08月25日
シリーズの3巻目ということで、続きが気になって手に取りました。前巻からの流れを引き継ぎながら、主人公が指揮官として初めて大きな任務に挑むという展開は盛り上がりがあります。 ただ正直なところ、期待していた以上の驚きや深さを感じられませんでした。戦略的な思考や部隊運営といった実務的な側面は丁寧に描かれていますが、どうしても進み方が一本道というか、予測の範囲内で収まってしまった印象があります。エンジニアとして職業柄か、論理的な構成には納得できるのですが、それがそのまま物語の予測可能性にもなってしまっているのかもしれません。 後半の「一寸先の思わぬ事態」というのは確かに存在するのですが、そこへ至るまでの過程がもう少し複雑に絡み合っていても良かったかなと思います。シリーズとしては無難に続いていく作品という感じ。次巻があれば読むと思いますが、今のところ強く推したいほどの傑作ではないですね。気軽に続きが読みたい人向けといったところでしょうか。
2026年08月19日
シリーズ第一巻から美津と暁の関係性にはまっていたので、二巻も一気読みしてしまいました。江戸時代という舞台設定が素敵で、医と刀という異なる道を歩む二人のキャラクターがすごく立ってるんです。 何度も挫折しそうになりながらも、自分たちの道を歩もうとする姿勢が本当に素敵。特に、女性であることの困難さを描きながらも、それに立ち向かう強さが描かれているところが、現代に生きる自分にもしみじみ響きました。エンジニアの職場でも似たような葛藤ってありますからね。 今巻では疫病という新しい要素が加わって、物語がより複雑に、奥行き深くなった印象です。二人の関係性もじわじわ変化していく過程が丁寧に書かれていて、引き込まれっぱなしでした。歴史冒険小説としても読み応えがあるし、人間ドラマとしても秀逸。続きが気になって仕方ありません。気軽に楽しめつつ、深い余韻も残る。こういう作品大好きです。
2026年08月17日
クイズ番組の決勝で、まだ問題が読まれていないのに正解してしまう男がいる—この設定だけで一気に惹き込まれました。 実は、プログラミングやロジックの面白さに引かれる職業柄なのか、この「なぜ?」という問いへの向き合い方がたまりません。著者が丁寧に謎を積み重ねていって、最後にズバッと解き明かす快感。エンタメ小説としてこれ以上ないくらい完成度が高いです。 気軽に読める雰囲気を持ちながら、実は綿密に計算された構成になっているところが秀逸。何気ない会話やシーン一つ一つが後で活きてくる感じ、好きです。文庫化に伴って収録された「僕のクイズ」という短編も、本編をより深く味わわせてくれます。 日常の疲れた時間に「ああ、こんなの読みたかった」という気持ちを満たしてくれる一冊。推理作家協会賞受賞も納得の傑作です。もう一度読み返したくなる面白さですよ。
2026年08月10日
仕事で橋梁設計に携わることになったので、新しい基準を学ぶために手に取りました。ただ、正直なところ期待と現実のギャップがありました。 技術書としての役割は果たしているんでしょうけど、とにかく読みづらい。専門用語が詰め込まれているのは仕方ないとして、図表の質がいまひとつ。複雑な計算式や基準値が列挙されているだけで、実務での活用シーンを想定した説明がもう少し欲しかったです。 改訂版ということで期待していたんですが、前版からの変更点が明確にハイライトされていないのが困りますね。何が新しくなったのか、何が廃止されたのか、ざっと把握するのに時間がかかりました。エンジニアの立場からすると、こういう参照性の良さって実用書として結構重要だと思うんです。 もちろん、この手の公式基準書に娯楽性を求めるのは筋違いなんでしょう。ただ、実務に必要な人たちがもう少し効率的に必要な情報にアクセスできる構成になっていれば、もっと良かったなと感じました。仕事道具として活用していきますが、もやもや感は残ります。
2026年08月07日
話題になっていたので気軽に手に取ったんですが、一気読みしてしまいました。エンジニアの仕事をしていると、どうしても論理的思考に偏りがちなんですけど、この作品はそういう日常を忘れさせてくれるくらいの没入感がありますね。 秘密の日記という設定だけで既に心を掴まれるんですが、主人公たちの関係性の描き方が本当に秀逸。二人の視点から同じ出来事が違う風に見えるという構成も面白くて、読み進めるたびに「あ、そっか」という小さな驚きが積み重なります。 何より印象的だったのは、限られた時間の中で二人が関係を深めていく過程。派手な展開があるわけじゃないのに、ページをめくる手が止まりません。後半、伏線が回収される場面では思わず涙ぐんでしまいました。デビュー作とは思えないくらい完成度が高い。 日常の忙しさに追われている時こそ、こういう作品に出会えるのって幸運だなって感じます。多くの人に愛される理由がよく分かりました。
2026年07月27日
話題になっていたので手に取ってみたんですが、正直なところちょっと物足りなかったというのが素直な感想です。 重いテーマを扱った作品ということは理解しているんですけど、主人公の心理描写がもう少し丁寧だったらなあと感じました。エンジニアの仕事をしていると、複雑なロジックや人間の動機を追っていく癖がついてるせいか、秀一の決断に至るまでのプロセスが駆け足に感じてしまったんです。 もちろん、限られた紙面でそこまで細かく書くのは難しいんだろうなというのは分かります。でも、こういった極限の状況に追い込まれた若者の心理こそが、この作品の核になるべきじゃないかと思うんですよ。その部分がもう少し掘り下げられていたら、もっと引き込まれたんじゃないでしょうか。 文章そのものは読みやすいし、湘南という舞台設定も良いんです。だからこそ、あと一歩踏み込む勇気があれば、かなり良い作品になれたんじゃないかなという、もどかしさが残ってしまいました。
2026年07月25日
川崎鷹也のエッセイ、予想以上に引き込まれました。正直なところ、アーティストの自伝本って少し敷居が高いイメージがあったんですが、この本は違いました。 本人が書き下ろしたというだけあって、とても素直な語り口が心地よい。なぜあんなに人の心を揺さぶる歌声が出るのか、その秘密が垣間見える感じがします。挫折や努力の話は、エンジニアの私にとってもすごく共感できる部分が多かったです。地道に技術を磨くって、ジャンルは違えど本質的には同じなんだなって改めて思わされました。 音楽の技法についても、難しすぎず、でも本質的な部分は丁寧に説明されているから、音楽知識がなくても楽しめます。短編みたいなのも挟まってあるので、さくさく読み進められました。 一気読みして、その後彼の曲を聴き直したくなるような、そういう素敵な一冊。もっと早く読めばよかったなって思います。
2026年07月23日
シリーズを追いかけ続けてようやく14巻にたどり着きました。いや、相変わらず面白い。これ、本当に何度読んでも飽きません。 今巻は主人公・莉奈が新しい国に到着して、またもや食べ物で周囲を魅了していく話なんですけど、焼肉パーティーから始まる外交戦は思わず笑ってしまいました。竜に乗ってきた女の子が城門前で焼き肉を焼く、この非常識さがもう最高。当然、王様も陥落するわけで。 エンジニアとしての仕事柄、論理的に構成された物語を読むことが多いんですが、このシリーズって実は緻密に計算されているんですよ。一見ほのぼのしているように見えて、各キャラクターの思惑がちゃんと絡み合ってるし、世界観の設定も無理がない。その上で、食べ物の描写から伝わる温かさと親近感が素晴らしい。 ストレスフルな日常から逃避したいときに最適です。ご飯を食べながら読むと、さらに沼にハマります。次巻が待ち遠しい。
2026年07月18日
仕事帰りに立ち寄った古本屋での時間って、本当に特別だなと改めて感じさせてくれた一冊です。 名古屋の古本屋「シマウマ書房」の店主が綴るエッセイなのですが、これがもう、読んでいて心がふわっと軽くなるんですよ。古本という存在を通じて、人と本がどう出会い、どう別れていくのか。その関係性の豊かさが本当に素敵に描かれています。 エンジニアという仕事をしていると、どうしても論理的で効率的な視点で世界を見てしまいがちなのですが、このエッセイを読んでいると「本ってこんなに自由で温かいんだ」って思い出させてくれます。レジでのちょっとした会話、遠方からの注文客、本棚の前でたたずむ人たち——ごく普通の日常が、実はすごく大事な何かを運んでいるんだなって。 気軽に読み始められるのに、じんわりと心に残る。活字離れが叫ばれる時代だからこそ、こういう本が存在することが本当に素敵だなと思います。週末の気分転換に、ぜひ。
2026年07月16日
本屋大賞受賞作だからという理由で手に取ったこの作品、予想を大きく上回る面白さでした。 「愛ではない。けれどそばにいたい。」という帯のフレーズに惹かれて読み始めたんですが、この一文だけで物語の本質がつかめているような気がします。世間的には批判されるであろう二人の関係性を、決して美化することなく、かといって単純に非難することもなく描き出す筆力に引き込まれました。 プログラミングの論理的思考に慣れた頭でも、人間関係の複雑さや感情の機微はコードでは解けない問題だなと改めて感じさせられます。各登場人物の視点が交錯する構成も工夫されていて、同じ事象を違う角度から見ることで、物語に奥行きが生まれていく。仕事の合間に少しずつ読み進めるのに丁度いいペースで読めました。 映画化も決定しているようですが、この小説だからこそ成立する世界観を、スクリーンでどう表現するのか非常に気になります。小説として完成度高く、何度も読み返したくなる一冊です。
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