直人の本棚
感想

最近、こういう知的で軽妙な エッセイが無性に読みたくなる年代になった。本屋で新装版として並んでいた『園芸家12カ月』を手に取ったのは、チェコの作家チャペックの名前を見かけたからだ。趣味の園芸について書かれた本とのことだが、侮るなかれ。これは単なる園芸ハウツー本ではなく、人生哲学に満ちた傑作である。 月ごとに描かれる庭での営みを通じて、チャペックは人間の本質、時間の流れ、自然との付き合い方についてこれ以上なく巧みに語っている。その軽妙な筆致は本当に秀逸で、クスッと笑わされながらも、ページをめくるたびに深い思索へと導かれる。仕事で疲弊した心が、この著者の言葉によって潤される感覚を覚えた。 「われわれ園芸家は未来に生きている」という冒頭の一文が全てを物語っている。著者生誕130年の新装版という形で今、改めてこの古典的名著が手に取れるのは幸せなことだ。人生の後半戦に入った身として、この本がもたらす視点の転換は実に貴重だった。

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