石井の本棚
感想

ハーンの日本観を知りたくて手に取りました。西洋人の視点から見た明治時代の日本——その神聖さや精神性を丁寧に描写する姿勢は理解できます。特に出雲大社訪問記や松江の描写には、対象への向き合う誠実さが感じられました。 ただ、正直なところ、現代の読者にとってはやや距離感があるかもしれません。アニミスティックな世界観の表現は詩情的ですが、時間を重ねた翻訳による文体の古さもあり、ページを進めるのに少なからず集中力が必要でした。技術書に比べると、文献を読むようなリズムです。 日本文化を外部の視点から検証したい、あるいはハーンの文学世界を入門的に知りたいという目的なら確実な一冊ですし、選抜された11編という構成もバランスが良い。ただ、これまでハーンを読んでいない方にとっては、もう少し取っつきやすい入口があるのではないかと感じました。文学的価値は十分ですが、万人向けかどうかはやや疑問です。

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