石井の本棚
感想

世界の名作と評判なので手に取ったのですが、正直なところ期待との乖離が大きかったです。 物語の基本構造は理解できます。貧困から一転して貴族の嫡孫になった少年が、その善良さで周囲を変えていく——それ自体は魅力的なプロットです。ただ、現代の私たちが読むには、登場人物の行動原理や道徳観があまりに単純化されているように感じました。セドリックの「完璧さ」は理想的である一方で、人間らしい葛藤や矛盾が不足しているのです。 また、新書というフォーマットの選択も疑問です。この程度の分量であれば、文庫本の方が読みやすかったのではないでしょうか。完訳とのことですが、翻訳表現が時々引っかかる箇所があり、原文の魅力が十分に伝わっているのか確認したくなりました。 クラシック文学として歴史的価値は認めますが、批評眼を持つ大人の読者には物足りないでしょう。子どもの読書教材としての位置付けなら納得できますが、そうであれば対象年齢をより明確に示すべきだと思います。

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