石井の本棚
運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」

運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」

安田 隆夫 文藝春秋 2024年6月20日

感想

ドン・キホーテの成功事例を学びたいと思って手に取りましたが、正直なところ期待とのギャップが大きかったです。 「運をコントロールする」という主題は魅力的ですが、具体的な方法論に乏しい。著者自身が「不運を幸運に変える力が強い」と述べながらも、それをどのように体系化・実装するのかが曖昧なままです。エンジニアの視点で言えば、再現性に欠けるロジックは応用しようがありません。 また、34期連続増収増益という圧倒的な成果を出した経営者の言葉だからこそ、もっと具体的な事例や決定ポイント、判断基準を期待していました。しかし内容は抽象的な人生哲学に傾いており、ビジネス書というより自己啓発書の領域です。 新書というコンパクトな形式だからか、深掘りが不足しているように感じます。これならば、経営学や心理学の学術的な知見に基づいた本の方が、「運」を理解する助けになるのではないでしょうか。成功者の言葉に耳を傾けることも大切ですが、その背景にある論理を知りたい読者には、物足りない一冊です。

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