石井の本棚
子どもが喜ぶことだけすればいい

子どもが喜ぶことだけすればいい

佐々木 正美 / 100%ORANGE ポプラ社 2021年1月20日

感想

子育てに関する本というと、つい「効率的な方法は何か」と思考が向かう職業病がある。だからこそ、この本の根底にあるシンプルな哲学に驚いた。 佐々木正美さんのメッセージは、システムやアルゴリズムではなく、人間の本質に立ち戻ることの大切さを教えてくれる。「かわいがられるからいい子になる」「過保護で子どもをダメにした事例を知らない」といった断定的な言葉は、一見するとポップに見えるかもしれない。しかし、その背後にある児童精神科医としての深い臨床経験と確信が透けて見える。 特に響いたのは、マニュアル化された子育てではなく、目の前のその子に寄り添うことの重要性だ。エンジニアとして最適化を求める癖が強い私にとって、「そのままでいい」というメッセージは、逆説的だが非常に論理的に思える。信頼と安心が土台にあってこそ、子どもは自分に自信を持つことができるという因果関係は明確だ。 子どもがいない自分にとっても、人間関係の本質について改めて考える良い機会になった。親世代だけでなく、誰もが読む価値のある一冊だと思う。

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