石井の本棚
感想

前作『汝、星のごとく』の完成度の高さに期待して手に取りました。本屋大賞受賞作の続編ということで、あの物語がどう広がるのか、登場人物たちがどう歩んでいくのか、素直に興味を持っていました。 ただ読み進めると、何か物足りなさが拭えません。複数の短編で構成されているのですが、各エピソードがやや断片的に感じられ、前作で培われた物語の厚みや人物描写の深さが散逸しているように思えるのです。特に編集者たちの話は題材として興味深いのに、紙幅の制約か、表面的な処理に留まっている印象を受けました。 エンジニアとして、システムの全体像を捉える癖があるからかもしれません。各パートが有機的に繋がり、より大きな物語を成立させるといった構成の密度を期待してしまいます。愛情や成長といったテーマは変わらず丁寧に書かれていますが、それらが前作と比べて新しい境地を切り開いているか、という点では疑問が残ります。 受賞作の名声に甘えず、さらに高みを目指した作品であってほしかったというのが正直な感想です。

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