はるとの本棚
チップス(上)

チップス(上)

真山仁 日経BP 2026年2月20日

感想

「ハゲタカ」シリーズの最新作ということで手にしたが、正直なところ期待値ほどの満足度は得られなかった。 半導体覇権と台湾有事という時宜に適ったテーマ設定は秀逸だ。国際政治とビジネスが複雑に絡み合う現代的な課題を、金融エリート鷲津のキャラクターを通じて描こうという意図は理解できる。しかし、その核となるべき思想的な深さや新奇な視点が、今作にはやや欠けているように感じた。 前作『シンドローム』から8年というブランクもあるのか、人物造形が幾分平板に思える。登場人物たちの葛藤や信念が、ストーリーの急速な展開に押し流されているような印象を受ける。また、複数の大国の利害が衝突する設定にもかかわらず、その緊張感や論理的な説得力が十分に描き切れていないのではないか。 エンタメ性を重視した構成は理解するが、本シリーズを評価してきた読者の期待は、もっと知的で複層的なドラマにあったのではないだろうか。時事的な旬を追うことも大事だが、時代を超えた普遍的な価値を問う視点こそが、この作家の本来の強みだと思う。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ