花まんま

花まんま

朱川 湊人

出版社:文藝春秋 出版年月日:2008/04/10

文藝春秋 | 2008/04/10

4.67
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作とのことで、気になっていた一冊です。映画化決定というニュースも見かけていたので、ちょうど良いタイミングで手に取りました。 子どもが示す不可思議な言動を通じて、親の心理がどう揺さぶられるかが丹念に描かれていて、読んでいてぐっと引き込まれました。妹が見せる言葉や行動の一つ一つが、本当に起きているのかそれとも一時的な心理状態なのか、その曖昧性を保ったまま物語が進む緊張感が素晴らしい。管理職の身として、親の判断の難しさや迷いの中での決断がとても身近に感じられました。 表題作の「花まんま」は特に秀逸で、子どもの視点と大人の視点が交錯する中で、深い問いかけが静かに立ち現れてきます。他の収録作品も家族をめぐる機微が繊細に描かれており、どれも読み応えがあります。 単なる奇想譚ではなく、家族とは何か、生と死とは何かといった根本的なテーマに向き合う力を持った作品。映画化も相まって、今こそ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

感想

直木賞受賞作だからと手に取ったこの作品は、予想を大きく上回る傑作でした。 教育現場にいると、子どもの成長に関わる仕事の責任の重さをいつも感じています。この小説は、親と子の関係性、そして子どもが見せる不可思議な言動にどう向き合うかという、極めて根源的なテーマに真摯に向き合っています。 幼い妹の口から語られる前世の記憶。それに戸惑い、揺らぎながらも愛しい我が子の声に耳を傾けようとする親たちの姿。この緊張感のある物語世界に一気に引き込まれました。著者の筆力は確かで、ファンタジー的な要素を使いながらも、家族の絆という普遍的なテーマを描き出しています。 何より印象的なのは、子どもの言葉や行動をどう解釈するかという問題が、大人の側の「信じる力」と深く結びついていることです。教員として日々子どもと接する身として、この深い問い掛けはずっと心に残りました。映画化も決まっているようですが、是非スクリーンで見たいと思わせる作品です。今年読んだ中でも最高クラスの一冊。

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