おまあ推理帖

おまあ推理帖

諸田 玲子

出版社:文藝春秋 出版年月日:2026/01/09

文藝春秋 | 2026/01/09

3.91
本棚登録:12人

みんなの感想

感想

ミス・マープルを江戸に置き換えるなんて、こんな素敵な企画があるんですね。諸田玲子さんの時代小説ならではの、江戸情緒たっぷりのミステリーです。 主人公のおまあさんは、ニコニコしたおばあちゃんなんですが、その観察眼の鋭さが本当に面白い。浅草の庶民生活の中で見えてくる人間の本性や人間関係の複雑さ。仕事柄、書類ばかり扱っている身としては、こういう人間観察の視点がとても新鮮でした。 それぞれの短編が江戸の日常を舞台にしながらも、きちんと謎解きの面白さを備えているので、気軽に読み進められます。古典ミステリーの名作を知らなくても十分楽しめますし、むしろこの作品を通じて「ミス・マープルってこういう人なんだ」と発見できるのも良いですね。 江戸のグルメや風俗、人情がたっぷり詰まった世界観も心地よく、読んでいて本当にあの浅草の小家にいるような気分になります。忙しい日常の合間に、ほっと一息つける一冊でした。

感想

江戸の浅草に生まれ変わったミス・マープルだなんて、素敵な発想ですね。諸田玲子さんの作品は前から好きでしたけど、この本も期待通りで楽しめました。 おまあさんという主人公がね、本当にいい。愛くるしくて、でもしっかりと人間の心を見抜いている。私たちおばあちゃん世代が、実は一番いろんなことが見えているんだって感じがして、読んでいて嬉しくなりました。浅草という馴染み深い舞台で、ほっこりとした雰囲気のなかで事件を解いていく…このバランスが本当に上手です。 密通の話やら茶碗屋の事件やら、どれもこれも人間臭くて現実的。派手な殺人トリックではなく、人々の日常のなかにある葛藤や秘密が事件の種になっているところが、古い小説好きの私にはたまりません。 お話も読みやすくて、一気に引き込まれてしまいました。昨今のキャラクターものもいいけど、こういう丁寧で温かみのある推理小説は本当に貴重だと思います。パート帰りの疲れた日も、これを開くと心がほぐれるようでした。

感想

ミス・マープルを江戸の浅草に転生させるという、ユニークな設定に惹かれて手に取りました。アガサ・クリスティーの傑作をアレンジするというのは大胆な試みですが、実際に読んでみるとなかなか上手くハマっているなという印象を受けました。 おまあというキャラクターの描写が良くて、黒目がちで丸顔、いつもニコニコしているのに人の心の奥を見抜くというビジュアルと性格の対比が実に魅力的です。浅草という舞台も新鮮で、江戸情緒の中で謎解きが展開していく雰囲気は気持ちよく読めました。 ただ、個人的には推理の部分がもう少し工夫があってもいいのかなと感じました。謎の構造自体はしっかりしているんですが、読んでいて「ああ、そういうオチか」という納得感よりも「まあ、そんなもんか」という感じで終わってしまう話が多かった気がします。短編集なので仕方ない部分もありますが、もう一押し唸らせるような展開があると、さらに面白くなったと思います。 気軽に江戸の謎解きを楽しみたい時には良い一冊です。

感想

江戸時代の浅草を舞台にした推理小説、というところに惹かれて手に取りました。ミス・マープルを江戸のおばあちゃんに生まれ変わらせるなんて、なんて素敵な着想でしょう。 主人公のおまあさんは本当に魅力的です。丸顔でニコニコしている見た目からは想像できないほど、人の心の奥底を見抜く力を持っている。庭で野草を育ててお茶をふるまいながら、そこに集まる女たちの悩みや秘密を聞き出していく。その自然な流れがたまりません。 江戸の浅草という舞台もいいですね。浅草寺のそばという歴史ある場所で、庶民の生活に根ざした事件や人間ドラマが次々と展開します。時代小説として洗練された筆致で、当時の空気感もよく伝わってきます。 推理という要素もありながら、何より人間への優しいまなざしが全編に満ちていて、読んでいて心が温かくなります。パート帰りの疲れた時間に読むのに、ちょうどいい一冊でした。もっと続きが読みたい気持ちでいっぱいです。

感想

ミス・マープルを江戸に置き換えるなんて、こんな素敵な発想があったのかと思わず声が上がりました。諸田玲子さんの時代小説センスと、アガサ・クリスティーの推理小説の魅力が見事に融合した傑作です。 おまあというキャラクターがね、本当に素敵なんです。浅草の片隅で野草を育てながら、訪れる女たちの悩みや事件を優しく、時には鮮烈に解きほぐしていく様子は、江戸情緒たっぷりでありながら、どこか普遍的な人間ドラマを感じさせます。細かい心理描写が丁寧で、読んでいて「あ、こういう人いるかも」とつい共感してしまいます。 短編形式なので、家事の合間にちょうど良く読み進められるのも気に入りました。各話それぞれに工夫された謎があって、最後のどんでん返しもいくつか「なるほど!」と唸らされます。江戸の雰囲気描写も上手で、その時代に吸い込まれるような読み心地。推理小説として、また時代小説として、どちらの視点からも楽しめる良作だと思います。

感想

アガサ・クリスティーの名作をベースに、江戸の浅草へ舞台を移すという企画に最初は慎重だった。だが諸田玲子による翻案は実に見事だ。 ミス・マープルが「おまあ」となり、イギリスの田舎町が江戸の浅草へ。一見すると単なる設定変更に思えるが、読み始めるとこれがいかに自然か分かる。人情に満ちた江戸の町で、庭の野草を育てながら隠居暮らしをするおばあさんが、訪れた人々の悩みや事件を解いていく。このシンプルな構図の中に、昔ながらの知恵と洞察力がしっかり息づいている。 おまあのキャラクターが秀逸で、ニコニコと穏やかでありながら、人間の本性を見抜く目の鋭さ。クリスティーの原作の本質を失わず、江戸という舞台で完全に生まれ変わった感がある。収録された各編も短編としてバランスがよく、通勤時間の合間にも読めるのが、フリーランス生活の私には嬉しい。完成度の高い時代冒険活劇として、満足度は高い。

感想

アガサ・クリスティーの名探偵ミス・マープルを江戸の浅草に置き換えるというコンセプトに惹かれて手に取りました。時代小説の第一人者・諸田玲子による意欲的な試みだという触れ込みも期待値を高めていました。 読んでみると、おまあというキャラクターの設定は魅力的です。浅草寺の近くで静かに暮らす老婦人が、一見ぼんやりしていながら他人の心の奥底を見抜く——その構図自体は十分に面白い。江戸情緒や人間関係の描写も丁寧で、フリーランスの自分としても、限られた空間で人間模様を観察する視点には共感するところがあります。 ただ、物語全体としては「及第点」といった印象を拭えません。個々の短編は手慰みになりますが、謎解きの部分で少し物足りなさを感じました。推理小説としての緊張感や意外性が、やや緩い気がするのです。また、江戸という舞台の活かし方ももっと工夫できたのではないかと思います。 決して悪い本ではないのですが、期待値がやや高かった分、「もう一押し欲しかった」という感覚が残りました。時代小説とミステリーの融合をもっと深掘りした続編があれば、評価も変わるかもしれません。

感想

アガサ・クリスティーの没後50年企画として江戸の浅草にミス・マープルを転生させるなんて、なんという洒落た試み!話題になっているのを見かけて即座に手に取りました。 江戸情緒あふれる浅草を舞台に、おまあという愛らしいおばあちゃんが次々と事件を解いていく。丸顔で黒目がちな目、いつもニコニコという風貌だけで既に魅力的なのに、その裏に隠された人間洞察の深さが本当に素敵です。一見ぼんやりした隠居暮らしをしているのに、村の女たちが自然と相談を持ち込んでくるあたり、原型のマープル的な存在の本質をちゃんと捉えている。 諸田玲子さんの筆致が冴えていて、江戸という時代背景の中で怪文書事件など、当時だからこその人間ドラマが浮き彫りになります。短編集という構成も、それぞれの事件にちょうど良い緊張感と解き明かされる快感がある。 時代小説の奥行きとミステリーの面白さが両立した、大人の女性にこそ読んでほしい一冊。自営業で忙しい日々の中でも、短編だからさっと読める点もありがたい。

感想

SNSで話題になっていたので、つい手に取ってしまいました。アガサ・クリスティーのミス・マープルを江戸の浅草に置き換えるなんて、なんて面白い着想!と期待値が高まったまま読み始めたのですが…正直なところ、思ったほどではありませんでした。 江戸情緒とミステリーの融合という試みは悪くないのですが、どうも中途半端な印象が拭えません。おまあというキャラクターは確かに魅力的で、ニコニコした雰囲気の中で真理を見抜く様は秀逸なのですが、ストーリー全体としてはいまひとつピンと来ないんです。謎解きにしてもさほど深掘りされず、エッセイ的な要素が強いのかなと感じました。 それでも江戸の風俗描写は丁寧で、浅草という舞台設定を生かした世界観には浸れます。話題性だけでなく、もっと本質的な仕掛けがあればなあと思いながら読み終えました。及第点ですが、大きな感動には至らなかった、そんな一冊です。

感想

このところ新聞でもよく話題になっている『おまあ推理帖』を手に取りました。アガサ・クリスティーの名作をこの時代に江戸浅草で蘇らせるという企画に、思わず興味をそそられたのです。 読み始めてみると、おまあというおばあさんのキャラクターがとても良い。江戸の庭で野草を育て、人々のお悩みを聞く気ままな隠居暮らし。そのような田舎の暮らしぶりは、私たち高齢者にも身近に感じられます。何も知らないようでいながら、ふっと人の心の奥を見抜く。そういう知恵を持った老人像というのは、古くて新しい魅力があるものですね。 諸田玲子さんの筆致は相変わらず確かで、江戸情緒がみずみずしく描かれています。密通の怪文書から始まる事件の数々も、古風でありながらも妙に現代的な人間ドラマが奥底に流れていて、引き込まれます。退職後の身として、このようなお話の中で人生経験を重ねたおばあさんが活躍する場面は、なんだか我が身のことのように感じられました。談話室で語り合うような、そんな親しみやすさがこの作品の何よりの魅力だと思います。

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