正欲

正欲

朝井リョウ / 朝井 リョウ

出版社:新潮社 出版年月日:2021/03/26

新潮社 | 2021/03/26

4.50
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

話題作だからと言ってすぐに飛びつくわけではない私ですが、このタイトルと帯の言葉に何度も足を止めました。結局、レビューを丹念に読んだ上で購入を決めたのですが、その判断は間違っていませんでした。 本作は、一見すると私たちが日常で感じるモヤモヤとした違和感を言葉にしてくれます。人間関係、欲望、生存戦略——複雑に絡み合う人間模様が丹念に描かれています。特に印象的だったのは、登場人物たちが決して単純な善悪では判断できない存在であるということ。彼らの行動に共感することもあれば、戸惑うこともある。その葛藤の中にこそ、この作品の魅力があるのだと感じました。 警告めいた帯文の「読む前の自分には戻れない」というのも大げさではありません。読み終わった後、何度も考え返してしまう場面が数多くあります。会社員として人間関係を重視する身だからこそ、より深く考えさせられたのかもしれません。重厚ですが、それだけの価値がある一冊です。

感想

この本を手に取るまで、かなり慎重に考えました。書評を色々と読んで、本当に自分が読むべき本なのか何度も確認してしまったほどです。でも実際に読んでみて、その判断は正解だったと思います。 登場人物たちの複雑な欲望と、それぞれが「生き延びるために」何を選択するのかという問い——この問題提起の重みが、読むたびに自分の内側に深く入り込んできました。主婦として日々の生活を営む中で、ついつい自分の欲望や本音を後回しにしてしまうことがあります。この作品は、そうした私たちの生き方を静かに問い直してくれるような力があるんです。 描写は丁寧で、登場人物たちの心理描写が非常にリアルです。読み進むにつれて、次々と明かされる背景や真実に、何度も息をのみました。確かに「読む前の自分には戻れない」という帯の言葉の意味が、読み終わった今、強く理解できます。 この10周年記念作とのこと。作家の気迫が詰まった一冊だと感じました。人間関係について深く考えたい方、自分の人生について問い直したい方に、特におすすめしたいです。

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