ナポレオン狂

ナポレオン狂

阿刀田 高

出版社:講談社 出版年月日:1982/07/01

講談社 | 1982/07/01

4.50
本棚登録:9人

みんなの感想

感想

短篇集を手にする際は、レビューをかなり念入りに確認する方なのですが、この作品はそうした慎重さが報われる一冊でした。 ナポレオンへの妄執に取り憑かれた男たちを描く表題作から始まる13篇。一つ一つが驚くほど完成度が高く、たった数十ページの中でキャラクターの内面を鮮やかに浮かび上がらせています。特に印象的だったのは、作者の観察眼の鋭さ。人間の矛盾や歪み、ちょっとした違和感を日常の中から丁寧に掬い上げ、それが物語の中でどう転がっていくのか—その運びが実に巧妙です。 直木賞受賞作だけあって、文章のクオリティも申し分ありません。説明的にならず、暗示的に読み手を引き込む筆さばきは、読んでいて新社会人の自分にも勉強になるほど。収録される「来訪者」など、後味の良さと深さのバランスが絶妙で、読み終わってもしばらく考えさせられました。 新書判のコンパクトなサイズも魅力。通勤中や休憩時間にさくさく読み進められるのに、内容の濃さは全く損なわれていない。短篇の傑作集を探している方には、本当にお勧めできます。

感想

話題の直木賞受賞作ということで、手に取ってみました。短篇集というのは当たり外れが大きいものですが、この一冊はもう素晴らしい。表題作の「ナポレオン狂」から引き込まれて、一気読みしてしまいました。 自分がナポレオンの生まれ変わりだと信じ込んでいる男と、ナポレオンの遺品を蒐集する執念深いコレクター。こんな奇想天外な設定を持ち出しながら、どの短篇も人間の心理の奥底にある何かを鋭くえぐり出している。著者の観察眼の鮮烈さに思わず息を呑みます。 最初は不可思議な題材ばかりかと思ったのですが、読み進むうちに「こういった人間、実は身近にいるかもな」と感じさせられるんです。日常の些細な出来事の中に潜む歪みや狂気、そして哀しさまで見えてくる。主婦をしていると、つい人間観察が鋭くなるのですが、この著者もそういう細やかさを持った人なんだろうと思いました。 直木賞受賞作というのは伊達ではないですね。本当に読んで良かった一冊です。

感想

話題作ということで手に取ってみたが、これは予想以上の傑作だった。短編集ながら、どの作品も人間の本質をえぐり出すような鮮烈さを持っている。 特に表題作の「ナポレオン狂」は秀逸だ。自分がナポレオンの生まれ変わりだと信じる男と、彼の遺品を完璧に集めたいコレクターという奇想天外な二人が織り成す物語。一見荒唐無稽に見えながら、その背後に流れる人間心理の深さが見事に描かれている。管理職として人間関係に携わる身としては、この執着や信念のあり方が非常に興味深い。 収録されている十三篇すべてが高い完成度を誇っており、ページを重ねるごとに引き込まれていく。直木賞、推理作家協会賞受賞という評価も納得だ。短編ならではの緊密な構成と、それぞれのラストに仕掛けられた巧みな転換が心地よい。 忙しい日常の中でも、短編なら数話ずつ読めるという実用性も兼ね備えている。文学的価値と読みやすさを両立させた、大人が読むべき傑作だと思う。

感想

最近、文芸誌の特集で話題になっているのを見かけて手に取った一冊です。短篇集ですが、どの作品も本当に面白くて、一気読みしてしまいました。 特に表題作の「ナポレオン狂」は、ナポレオンの生まれ変わりだと信じている男とコレクターが登場するという奇想天外な設定なのに、どんどん引き込まれていきます。こうした非日常的な人物たちの行動を通して、人間の執着や欲望、そして滑稽さまでもが浮き彫りになる。著者の卓越した観察眼に感心しました。 どの短篇も登場人物の心理描写が深く、わずかな頁数の中に人生の複雑さや矛盾が凝縮されている感じがします。読んでいて「ああ、こういう人、いるいる」と思わせられることもあれば、「え、こんな展開?」と予想外の結末に驚かされることも。この切れ味の良さはやはり直木賞受賞作の実力を感じさせます。 パートの帰り道、ちょっと疲れた頭でも、短篇なら無理なく読み進められるのが私にはぴったり。ここのところ話題作をいろいろ読んでいますが、この本は本当に値打ちある一冊だと思います。

感想

文庫本だから気軽に持ち歩いて、ちょっとした時間に読めるのがいいですね。この本は短編集なんですが、どのお話も本当に面白くて、一気に読んでしまいました。 ナポレオンの生まれ変わりだと信じている男のお話、それからコレクターの人のお話、どれもくすっと笑えるような不思議な世界観です。人間の変な執着とか、こだわりとかを上手に描いているなぁって感じました。 直木賞受賞作だけあって、文章がしっかりしていて、短い中にもきちんと物語が詰まっているんです。作者の切れ味のいいユーモアというか、人間観察の深さが感じられます。 パート仕事で疲れた後に読むと、心がふっと軽くなるような感じがします。どの短編も違う味わいで、飽きずに楽しめるのがいいですね。同じ著者の他の作品も読んでみたくなりました。気軽に楽しめる大人の短編集として、おすすめです。

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