莉子の本棚
どんどん橋、落ちた

どんどん橋、落ちた

綾辻行人 講談社 2002年10月1日

感想

綾辻行人のこの作品集を読み終わりました。ミステリは若い頃からときどき手に取ってきましたが、この本の「犯人当て」というコンセプトに最初は少し躊躇いがありました。難しすぎるのではないか、と思ったのです。 しかし実際に読んでみると、その心配は杞憂でした。表題作の「どんどん橋、落ちた」から始まる五つの事件は、確かに謎解きは複雑ですが、物語として丁寧に積み重ねられている。登場人物たちの人間関係や心理が細かく描かれているので、謎を追いかけながらも話に引き込まれていきます。 特に「伊園家の崩壊」は、一見平和な家族の中に潜む悲劇が静かに迫ってくる恐ろしさを感じました。謎解きの快感だけでなく、そこに人間ドラマがあるのがこの本の良さだと思います。 文庫本というのも読みやすくていい。もう一度最初から読み返して、今度は自分で犯人を当てられるか挑戦してみたい気持ちになりました。ミステリ好きな方には、ぜひお勧めしたい一冊です。

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