近藤の本棚
白い夜のセレナーデ

白い夜のセレナーデ

赤川次郎 光文社 2026年9月9日

感想

爽香シリーズの最新刊とのことで、前作からどの程度の時間経過があるのか気になりながら手に取りました。主人公が読者とともに年を重ねるという設定が秀逸で、37歳の私自身も共感しやすい部分が多くありました。 演劇祭の中止という舞台設定から始まり、温泉街での事件へと物語が展開していく流れは、実に計算し尽くされたプロット構成だと感じます。エンジニア気質の私としては、こうした組み立ての巧みさについついうなずいてしまいます。 登場人物たちの行動原理が明確で、一見すると単純な欲望や対立に見えても、その奥に人間らしい葛藤がちりばめられているのが魅力的。温泉宿での騒動から始まる連鎖反応は、スピード感がありながらも丁寧に描かれています。 ただ、中盤の情報量が少し多めに感じた部分もあり、若干の読みづらさはありました。それでも最後まで一気読みしてしまう引力は十分です。爽香というキャラクターへの愛着も増していて、次作への期待も高まっています。

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