近藤の本棚
薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

江國香織 / 江國 香織 集英社 2003年6月1日

感想

仕事でコードを書き続ける日々だからこそ、たまには柔らかくて流動的な世界に身を委ねたくなる。そんな気分で手に取った一冊でした。 9人の女性たちの恋愛を描くというコンセプトに、正直なところ最初は戸惑いました。でも読み進めるうちに、その多様性と奥深さに引き込まれていきました。著者の視点が本当に丁寧で、一人ひとりのキャラクターが立体的に描かれている。都会的でありながら、どこか物憂げな空気感が心地よく、それが「恋愛運動小説」という表現にぴったり合致しています。 最初は個別のエピソードだと思っていたものが、読み終わってみると全体で一つの流れをなしていることに気づきました。恋というものが個人的な感情を超えて、もっと大きな循環の一部なんだという著者の視点に、なるほどと納得させられました。 エンジニアとしてロジカルに物事を考える癖がある分、こういう感情的で流動的なテーマは新鮮な刺激になります。完璧さを求めず、揺らぎながら進む恋愛の描き方が、実は人生というものの本質をついているのかもしれません。大切に読み返したい一冊です。

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