みっちゃんの本棚
コタンの口笛(第1部 下)

コタンの口笛(第1部 下)

石森延男 偕成社 1988年3月1日

感想

アイヌ民族の伝説を題材にした児童文学と聞いて、期待を持って手に取りました。しかし第1部下巻を読み終わって、率直に言うと物足りなさが残ります。 物語の構成が散漫に感じられ、前巻からの流れを引き継ぎながらも、中心となる軸足がぼやけているように思いました。児童向けということは理解していますが、評価の高い作品として挙げられるには、もう一段階の深さや緊張感が欲しかった。登場人物の動機や心理描写も表面的で、読み進める中でキャラクターへの感情移入が十分に生まれませんでした。 アイヌ文化への造詣や民族的背景を伝えようとする意図は感じられます。ただし、その教育的な側面と物語性のバランスが上手く取れていない印象です。下巻という中途半端な地点での区切りも、読後の満足度に影響しているかもしれません。 全体として、もう一度、より緻密に構成された別の作品から始める方が良かったかもしれないと思わせる一冊でした。

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