和也の本棚
人生が二度あれば

人生が二度あれば

垣谷美雨 中央公論新社 2026年9月18日

感想

久しぶりに一気読みしてしまった。タイムスリップというファンタスティックな設定なのに、その中に描かれているのは極めてリアルで生々しい人間ドラマだ。 主人公・雅美さんが人生設計シートで己の人生を見つめ直し、やり直せるなら……と考えるくだりは、同じ中年男性として胸が痛んだ。自分たちの世代も、親の価値観に知らず知らずのうちに縛られて、本当は何がしたかったのか忘れてしまっているのではないか。そんなことを考えさせられた。 物語は昭和という時代背景を通じて、女性が直面してきた理不尽さや窮屈さを丁寧に描いている。しかし決して重くなく、中学生に戻った雅美さんと天ヶ瀬さんの活動を通じてユーモアと希望も感じさせてくれる。人生のやり直しが物理的には不可能でも、今この瞬間からの選択は自分たちの手にあるんだという前向きさが素晴らしい。 忙しい毎日の中で、自分の人生について改めて考えるきっかけをくれる良い一冊。仕事漬けの日々から少し距離を置いて読むことをお勧めしたい。

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