和也の本棚
豊臣家の人々 新装版

豊臣家の人々 新装版

司馬 遼太郎 / 横山 明 KADOKAWA 2008年2月23日

感想

歴史小説はいくつも読んできたが、秀吉の生涯を扱った作品の中でも、この連作長編は独特の視点を持っていると感じた。主人公を秀吉本人ではなく、彼の周囲の人物たちに設定することで、栄光と衰退の歴史が立体的に浮かび上がってくる。 貧農から関白へと上り詰めた秀吉の奇蹟は、一見すると劇的で魅力的だ。しかし本書では、その非凡な出世が彼の縁者たちにもたらした不幸を丁寧に描いている。平凡な人物たちが突然の栄達に翻弄される様を追うことで、運命の無常さと人間関係の微妙さが際立つ。 管理職として部下の成長や配置転換を見守る立場だからか、こうした人間関係の変化が妙に説得力を持って響く。豊臣家という巨大な組織の中で、誰もが与えられた役割を全うしようとするが、やがてそれが凋落の引き金となっていく様は、組織の宿命的な側面を考えさせられた。 新装版ということで、読みやすさも工夫されているようだ。気軽に歴史ロマンを楽しみながら、深い思考にも誘ってくれる良作だと思う。

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