ひなたの本棚
傲慢と善良

傲慢と善良

辻村深月 朝日新聞出版 2022年9月7日

感想

仕事で疲れた夜、何度も手に取ってしまった一冊です。婚約者が忽然と姿を消すという設定だけ聞くとミステリーかと思いきや、そうではなくて。主人公が彼女の「過去」と向き合っていくプロセスの中で、人間関係の複雑さや自分たちがどう生きるかという問いが浮かび上がってくるんです。 読んでいて感じたのは、この物語が恋愛小説でありながら、実は自分自身の人生を考えるきっかけをくれるということ。登場人物たちの選択や葛藤が、妙にリアルで心に残ります。38年生きてくると、人間関係って本当に難しいんだなって実感することばかりですが、この作品はそうした現実をちゃんと描いている。押し付けがましくない優しさの中で、深く考えさせてくれます。 文庫本という気軽なフォーマットも良かった。通勤時間に少しずつ読み進められて、でも内容は濃い。朝井リョウの解説も素敵で、余韻を引きずるまま終われました。大人が読むべき一冊だと思います。

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