直人の本棚
マスカレード・イブ

マスカレード・イブ

東野 圭吾 集英社 2014年8月21日

感想

東野圭吾の『マスカレード・シリーズ』は仕事帰りの電車での楽しみになっている。今回の『マスカレード・イブ』は、前作『マスカレード・ホテル』の二人の出会い前という設定に惹かれて手に取った。 舞台となるホテル・コルテシア東京の豪華な世界観は相変わらず魅力的で、その中で展開する大学教授殺人事件という古典的なテーマが現代的に再構成されている点が実に巧みだ。山岸尚美という主人公の視点から、フロントクラークの職業倫理と推理が絡み合う過程は、読んでいて引き込まれる。警視庁の新田浩介も登場するが、二人がどのように結びつくのかというプロセスを知ってからもう一度前作を読み返したい衝動に駆られた。 ミステリとしての完成度は高く、最後の真相解明までしっかり読ませる構成になっている。ページをめくる手が止まりませんでした。ただ若干、前作の補完という立場が制約になっているのか、独立した一つの物語としての深掘りが欲しかった気もする。それでも十分に満足できる一冊です。

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