石井の本棚
かくれトラウマ - 生きづらさはどこで生まれたのか -

かくれトラウマ - 生きづらさはどこで生まれたのか -

井上 陽平 ワニブックス 2026年2月26日

感想

トラウマの概念を分かりやすく解説した新書として評価できる部分はあるのですが、残念ながら期待値に達しませんでした。 著者の公認心理師としての専門知識は明らかで、「かくれトラウマ」という聞き馴染みのない概念を丁寧に説明しようとする姿勢は好感が持てます。冒頭のチェックリストも、多くの人の共感を呼びそうです。 しかし、22のレッスンというアプローチが表面的に感じました。エンジニアとして問題解決に慣れているせいか、より具体的なメカニズムや、実装可能な対策がほしかった。「読むだけで心がほどける」という謳い文句は、正直なところ楽観的すぎます。 また、個別の事例解説は良いのですが、複数の異なるトラウマパターンに対応する構成のため、どうしても各レッスンが浅くなっています。心理学の入門書としては悪くありませんが、本当に「生きづらさ」を抱えている人には、もっと深掘りした内容や、実際の治療アプローチまで言及した本が必要では、と感じました。 自己啓発書としてのライト感は保証しますが、真摯に自分の課題に向き合いたい読者にとっては、物足りない一冊だと思います。

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