石井の本棚
お墓はどうなる

お墓はどうなる

辻󠄀井 敦大 岩波書店 2026年9月24日

感想

近年の葬送文化の多様化は、社会学的な観点から非常に興味深いテーマだと思い手にしました。著者の問題提起自体は意義があり、墓じまいや散骨といった新しい選択肢が登場した背景を丁寧に説明している点は評価できます。 ただ、正直なところ、内容が表層的に留まっているという印象が拭えません。統計数字やトレンド情報は充実していますが、なぜそうした変化が起きているのか、その深層にある日本の家族観の変容や宗教観の揺らぎについての掘り下げが足りない気がします。エンジニアとして分析的に読むと、データは提示するものの、原因と結果の因果関係の論証がやや弱いと感じてしまいました。 また、「これからのお墓を考える」という問題提起のわりに、最後の議論が唐突に終わった感があります。読み終わっても「では、実際に私たちはどう考えればいいのか」という問いへの答えが見当たりません。新書という限られたページ数の制約もあるでしょうが、思想書として期待していた深さがそこまで得られなかったのは、個人的には残念でした。

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