石井の本棚
インフレの時代

インフレの時代

渡辺努 中央公論新社 2026年1月22日

感想

日本がデフレから抜け出しつつある今、この本は本当にタイムリーだと感じました。物価研究の第一人者である著者が、なぜ日本で急にインフレが起きたのか、その背景をシステマティックに解説してくれます。 エンジニアとして、問題を根本から理解することの重要性を日頃から実感しているのですが、この本はまさにそのアプローチで経済を分析しているんです。単なる「物価が上がっている」という表面的な話ではなく、慢性デフレの仕組みから現在の変化まで、論理的に追跡していく構成が秀逸でした。 特に印象的だったのは、賃上げと経済の好循環についての議論です。私たちの生活に直結する問題なのに、政策決定の現場ではどんな議論がされているのかが見える。難しい経済学の概念も丁寧に説明されているので、専門知識がなくても理解できます。 ただし、実際の賃上げ実現についての処方箋がもう少し詳しく書かれていたら、さらに良かったように思います。それでも、現在の日本経済を理解するうえで必読の一冊。新書という形式だからこそ、コンパクトながら本質を突いた素晴らしい内容になっています。

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