あんと懐かしい人々 お勝手のあん

あんと懐かしい人々 お勝手のあん

柴田 よしき

出版社:角川春樹事務所 出版年月日:2026/02/13

角川春樹事務所 | 2026/02/13

4.67
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

歴史の大きな転換期を舞台にしながら、料理という日常の営みを通じて人間関係の機微を描く、本当に好きなシリーズです。このお勝手のあん編も、相変わらず素敵でした。 おやすという女料理人を中心に、土方歳三など実在した人物たちが次々と登場するんですが、それぞれの再会シーンが本当にいい。当時の京都の情勢が背景にあるのに、紅屋という一軒の料理屋に集う人々の温かさが際立っていて、読んでいてほっこりしました。 印象的だったのは、政一という料理人への向き合い方と、おしげという女中頭の成長が重ねられていく部分。さりげないようでいて、紅屋という場所の未来を見つめるおやすの視点が素敵でした。そして終盤の豆づくしの注文という仕掛けも、人物描写とうまく絡み合っていて。 気軽に読める歴史冒険小説のようでいながら、実は登場人物たちへの向き合い方が深い。公務員の日常に疲れた時の、最高のリセット本になっています。シリーズ追い続けたい。

感想

幕末という激動の時代の中で、一人の女料理人の日常を丁寧に描く――この大河シリーズの第十三弾は、本当に素敵な作品でした。 歴史小説というと、大きな事件や有名人物の活躍に焦点があたることがほとんどです。でもこの作品では、紅屋の台所で働くおやすを中心に、土方歳三や絵師・河鍋狂斎といった実在の人物たちが、あくまで脇役として登場する。その構成が新鮮で面白い。時代の激動が遠く聞こえる中で、料理を通じて人間関係が紡がれていく。 特に心惹かれたのは、登場人物たちが再会する場面の温かみです。戦乱の中で散り散りになった人々が、食卓を囲んで昔を思い出す。そうした瞬間の描写が本当に良い。公務員という身分柄、日常を大切にすることの重要性は身にしみて分かります。 謎めいた注文という伏線も気になりながら、ページをめくる手が止まりませんでした。通勤電車でちょこちょこ読むのに、ちょうどいいペースの物語運びも好印象。シリーズ通して読み続けたくなる、そんな一冊です。

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