あかね空

あかね空

山本 一力

出版社:文藝春秋 出版年月日:2004/09/02

文藝春秋 | 2004/09/02

4.33
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作ということで期待値が高かったのですが、期待以上でした。 豆腐職人という、一見地味な題材をここまで深く、そして美しく描ける筆力に引き込まれました。永吉という男が自分の技術に真摯に向き合う姿勢は、同じく手に職を持つエンジニアとして共感するところが多く、「職人とは何か」を改めて考えさせられた気がします。 京と江戸の味覚の違いに悩みながら少しずつ道を切り開いていく夫婦の物語は、単なる成功譚ではなく、人生の営みそのものが描かれている。親子二代にわたる構成も、時の流れと世代交代のなかで技術や想いがどう受け継がれていくのかを丁寧に追っていて、読み終わった後に深い余韻が残ります。 文庫本という手軽さも魅力的。仕事の合間に少しずつ読み進めましたが、江戸時代という時代設定の親しみやすさも相まって、途中で読むのが嫌になることもなく、むしろ続きが気になって仕事の休憩時間も本を手に取っていました。ベストセラーになるだけの理由が確かにある、そんな一冊です。

感想

直木賞受賞作ということで、評判を確認してから手に取った一冊です。豆腐職人の永吉とおふみの夫婦が中心という、一見地味な題材ながら、読み進めるうちにぐんぐん引き込まれました。 京と江戸の味覚の違いに悩みながら、自分たちの店を築いていく過程。そこには確かな技量を求め続ける職人の姿勢と、それを支える妻の存在があり、非常に誠実に描かれています。親子二代にわたる物語ということで、時間軸も広がり、登場人物たちの人生の有為転変を見守る感覚が心地よいです。 文語的で古めかしい表現も多いのですが、それが時代背景と自然に調和していて、むしろ物語の世界へ没入しやすかった。江戸の人間関係の機微、家業を継ぐことの重みなど、現代に通じるテーマも随所に感じられます。 ただ、展開がゆっくりで、すぐに先を知りたいという性質の人には物足りないかもしれません。じっくり、丁寧に読める時間的余裕がある方に特におすすめしたい作品です。

感想

直木賞受賞作ということで手に取りました。江戸時代の豆腐職人を主人公にした人情時代小説ですが、これが実に味わい深い。 永吉という男が、京から江戸へ出てきて、自分の技量一筋に生きる姿勢がいい。年を重ねた身としては、職人気質でぶれない生き方というものに共感するんです。おふみという女性との関係も、夫婦というより相互扶助の関係として描かれており、現実的でありながらも温かみがあります。 長く自営業をやってきた私からすると、商売繁盛の苦労から子どもたちへの代替わりまで、世代を超えた営みの連続性が胸に響きます。京と江戸の味覚の違いに悩みながらも、やがて独自の道を切り拓いていく過程は、ビジネスの継承と創新の物語でもあるんですね。 文庫本で読みやすく、昨今の話題作ということもあって最後まで一気に読みました。人間ドラマとしての完成度が高く、久しぶりに良い時代小説に出会った満足感があります。

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