ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち

宮口 幸治

出版社:新潮社 出版年月日:2019/07/13

新潮社 | 2019/07/13

5.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

新社会人になって職場で「なぜこんなことが理解できないのか」という場面に何度か出くわした。当初は単純に怠けか反発だと思っていたが、この本を読んで考え方が一変した。 著者は非行少年たちの問題の根底に「認知能力の発達段階の遅れ」があることを指摘する。ケーキを等分に切るという一見簡単なタスクができない背景には、単なる努力不足ではなく、脳の処理能力に関わる構造的な課題があるのだ。目からウロコが落ちる思いだった。 新書というコンパクトなフォーマットながら、理論と実践のバランスが見事。認知力の弱さがどのような形で生活に支障をきたすのか、そしてそれにどう対応すべきかが具体的に示されている。社会福祉や教育の現場だけでなく、職場の人間関係を理解する上でも極めて有用だ。 新社会人として組織の多様性を理解することの重要性を痛感した。困難に直面している人を一律に評価するのではなく、その背景にある認知的特性を認識する。それが成熟した大人の思考なのだと学べた貴重な一冊だ。

感想

新聞の書評欄で目にして、さっそく手に取った一冊だ。正直なところ、この歳になって社会問題の実践的な分析本を読むとは思わなかったが、著者の視点の鮮烈さに引き込まれた。 「ケーキを等分に切る」ーーこんな簡単なことができない子どもたちがいるという事実は、衝撃だった。認知力の問題という観点から非行少年たちを捉え直す著者の手法は、実に明確で説得力がある。自分たちの世代では見過ごしていた「境界知能」という概念が、いかに多くの子どもたちに影響しているのか、丁寧に説き起こされている。 何より印象的なのは、反省を求める従来の教育手法への疑問を呈しながら、実践的で希望に満ちたメソッドを提示している点だ。長く自営業をしてきた身として、若い世代の抱える困難が従来の根性論では解決しないことを感じていたが、この本はその正体を明かしてくれた。 社会の様々な層が読むべき一冊。世の親御さんたちにも、強くお勧めしたい。

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