一夜

一夜

今野 敏

出版社:新潮社 出版年月日:2026/08/28

新潮社 | 2026/08/28

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

最近SNSで話題になってたので手に取ってみたんですが、想像以上に面白かった! 北上輝記という有名作家が誘拐されるという謎解きの枠組みそのものは、ミステリとしてかなり引き込まれます。ただこの作品の面白さはそこだけじゃなくて、警察官僚である主人公・竜崎が誘拐事件への対応を通じて、自分の信念とか人間関係とどう向き合うかっていう部分にあるんですよね。 特に息子さんの進路の話が絡んでくるあたりから、単なるサスペンスじゃなくなって、人生を選択することの重さみたいなものが浮かび上がってくる。原理原則を大切にしてきた人が、家族との関係の中でどう揺らぎ、どう成長していくのか——そういう人間ドラマが丁寧に描かれてるところが本当に良かった。 官僚小説とミステリと人間ドラマがバランスよく融合していて、一夜という短い時間の中に濃密なストーリーが詰まってる感じです。話題作として読む価値は十分あると思います。

感想

警察官僚の成長を描いた作品ということで、慎重に購入を決めたのですが、本当に正解でした。 北上輝記の誘拐事件を軸に、刑事部長・竜崎伸也という主人公の人間的な変化を丁寧に追っていく構成が素晴らしい。原理原則を何よりも大切にしてきた男が、ミステリ作家・梅林賢との関わりや、息子の人生選択を通じて、徐々に視点を広げていく過程がとても説得力があります。 フリーランスの身として、仕事の「正解」だけを追い求めることへの違和感を最近感じていたのですが、この作品はそういった息苦しさを考え直させてくれるような深さがあります。ミステリの謎解きとしても秀逸ですし、人間ドラマとしても完成度が高い。 新潮文庫の手軽な装丁も良く、読みやすいペース配分になっているのも、このような年代の読者にはありがたいです。多くの世代に共感を呼びそうな、本当に素晴らしい一冊だと思います。

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