みどりいせき

みどりいせき

大田 ステファニー 歓人

出版社:集英社 出版年月日:2026/02/20

集英社 | 2026/02/20

5.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

三島由紀夫賞受賞作という看板に惹かれて手に取った一冊だが、正直なところ最初は戸惑った。通常の小説の枠組みを大胆に外した構成、そして現在進行形で生きている若者たちのバイブスそのものが主役だという選評の言葉も、読む前はピンと来ていなかったのだ。 しかし読み進むにつれ、その違和感こそが作品の真骨頂だと気づかされた。小学生時代の友人との再会をきっかけに展開する物語は、一見すると不良的な世界への陥落のように思える。だが著者は、世間が「ピント」を合わせている表面的な現実の外側に広がる、複雑で多層的な世界観を見事に描き出している。 54年生きてきた中で、こうした若い世代の感受性の在り方をこれほど鮮烈に体験したのは初めてだ。小説という表現形式の可能性を改めて認識させられた作品である。確かに中毒性がある。慎重に作品を選ぶ私が、ここまで引き込まれるのは稀なことだ。

感想

最近、いい意味で予測不可能な小説に出会えることが少なくなってたんですよ。でもこの作品は違った。三島由紀夫賞とすばる文学賞のダブル受賞というのも気になったし、手に取ってみたんです。 読み始めると、語呂合わせのようなタイトルから察する通り、独特の空気感が立ち上ってくるんですね。小学生時代の思い出から始まる物語なんだけど、表面的な物語展開だけじゃなく、その背後にある世界観、というか「空気」を感じさせる書き方が秀逸。川上未映子さんの選評にある通り、バイブスそのものが主役という感覚、これすごくよく分かります。 自営業をやってると、世の中には見えない層や裏側がいっぱいあることに気付かされるんですけど、この小説はそういう「普通のピントの外側」の世界をこれまでにない方法で表現してる。青春小説という枠組みを超えた何かがある。一気読みしてしまいました。ちょっと中毒性がありますね。

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