みいの本棚
感想

家庭裁判所という舞台設定に惹かれて手に取りました。日常生活でも人間関係って複雑だなと感じることが多いのですが、この本は家事事件を通じて、人々の隠された本心や葛藤をこれ以上なく丁寧に描いています。 主人公の庵原かのんという調査官のキャラクターが本当に魅力的です。冷徹で頭が切れるようでいて、実は相手の気持ちに寄り添おうとする姿勢が随所に表れていて、何度も共感させられました。離婚や相続といった誰もが関わる可能性のある身近なテーマだからこそ、ページをめくる手が止まりません。 各エピソードが独立しながらも全体として一つの物語へ収束していく構成も見事で、ミステリー的な面白さもあります。記憶喪失の男の正体や、一見単純な案件の奥に隠された真実——こうした要素が次々と明かされていく快感がたまりません。 人間は誰もが何かを隠しているという前提で始まる物語だからこそ、終盤の「ほろ苦い真実」が心に響きます。シリーズ第二弾ということですが、これから第一弾も読み返したくなりました。

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