莉子の本棚
天使のナイフ 新装版

天使のナイフ 新装版

薬丸岳 / 薬丸 岳 講談社 2021年8月12日

感想

このお話は、本当に考えさせられる作品です。少年犯罪という難しいテーマを真摯に扱っており、法律と正義の問題について深く問い直す力があります。 娘さんの目の前で起きた悲劇から4年後の事件へと物語は展開していきますが、その構成がみごとです。被害者家族の苦しみ、加害者の心理、そして社会的な正義と個人的な復讐心の葛藤——これらが複雑に絡み合い、読む者の心に重くのしかかります。 著者の筆力も素晴らしく、登場人物たちの心情が丁寧に描き出されています。読み進めるうちに、善悪の判断がいかに難しいかを痛感させられました。特に「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」というその言葉の重みが、終わった後も心に残り続けます。 文庫のこのサイズで持ち運びやすいのも良いのですが、気軽に読める内容ではありません。むしろ、腰を据えてしっかり読む価値のある一冊です。人生経験を重ねた方こそ味わえる作品だと感じました。ボランティアの仕事をしていると、様々な人間関係や問題に向き合う機会がありますが、そうした経験がこの本の価値をより深く理解させてくれます。

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