夜読み派の本棚
感想

直木賞受賞作ということで興味を持って手に取りました。吉原という歴史的な舞台を背景に、一人の花魁の謎の消失を軸とした物語なのですが、これがもう引き込まれる面白さ! 江戸の吉原の世界がとても鮮やかに描かれていて、その時代特有の人間関係や権力構造が丁寧に紡ぎ出されている。主人公の葛城という女性キャラクターの強さと弱さが同時に感じられて、本当に魅力的です。十年に一度の逸材と言われるほどの存在がなぜ消えたのか、その謎を追いながら読み進めるとページをめくる手が止まりません。 歴史小説というジャンルではありますが、重くなりすぎず、むしろ人間ドラマとしての面白さが前に出ているところが良かった。今話題の本だからこそ読む価値があるし、読んで損はないと思います。選考委員をうならせた理由がきちんと伝わってくる、完成度の高い一冊でした。