てつの本棚
ママがもうこの世界にいなくても

ママがもうこの世界にいなくても

遠藤 和 小学館 2021年12月1日

感想

教室で日々、生徒たちの成長を見守る仕事をしていると、人生ってなんなのかと考えさせられることがよくある。この本を読んで、そのぼんやりとした思いが一気に形になった気がした。 21歳でステージ4のがん宣告を受けた著者が、それでも愛する人と結婚し、娘を産み、その子に向けて日記を綴る——言葉にするとシンプルだけど、読んでみると本当に圧倒される。特に心に残ったのは、絶望的な状況下で著者が見つめ直す「幸福」の定義だ。健康で長生きすることだけが幸せじゃない、という視点は、つい効率や成績を重視してしまう教育の現場にいる自分に大きな問いを投げかけてくれた。 抗がん剤をやめてでも子どもを持つことを選ぶ、その決断と覚悟。夫との関係性。そして娘への向き合い方。どれもが静かで、それでいて揺るがない強さを持っている。気軽に読める本ではないかもしれないけれど、人として大切なものを思い出させてくれる一冊だと思う。

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