むしろ花園としての精神病棟

むしろ花園としての精神病棟

丸山 めぐこ

出版社:丸善 出版年月日:1994/03/01

丸善 | 1994/03/01

4.67
本棚登録:4人

みんなの感想

精神病棟というと、どうしても暗いイメージを持ってしまうものですが、このエッセイ集を読んでいて、そんな先入観がすっかり吹き飛んでしまいました。著者の語り口がとても柔らかく、人間らしいんですよ。 躁うつ病と向き合いながら生きる中で、著者が見つけた景色や思い、ちょっとした喜びが、さらりと綴られています。医学的な深さだけじゃなく、文学的な温かみがあって、つい引き込まれてしまいます。定年も近い年代だからこそ、人生の中での心身の変化を考えさせられることもありました。 何より驚いたのは、タイトルの「花園」という表現。病棟という限定された空間の中にさえ、美しさや希望があるんだという視点が、とても素敵だなと感じました。重たすぎず、でもちゃんと考えさせてくれる。こういった本を気軽に読める幸せを改めて感じますね。ぜひ多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。

最近、話題の本ということで手に取ってみたのだが、これは実に興味深い一冊だった。著者のうつ病との向き合い方が、これまで読んできた医学的な解説書とは全く異なる視点で綴られている。 80年近い人生を歩んできた身としては、精神の葛藤というものは誰もが少なかれ抱えているものだと感じてきた。しかし、この本はそうした悩みを「敵」ではなく、むしろ自分自身の一部として受け入れていこうとする著者の姿勢に心を打たれた。エッセイという形式だからこそ、素直な言葉で心情が伝わってくるのだろう。 「精神病棟を花園として」というタイトルの意味も、読み進めるうちに腑に落ちていく。自営業で長年、人間関係や経営の判断に悩まされてきた経験からすると、この著者の視点は新鮮であり、同時に深い教養に支えられたものだと感じられる。 高齢になってからでも、新しい視点を得られる本というのは貴重である。幅広い人に読んでもらいたい作品だ。