読書メモの本棚
むしろ花園としての精神病棟

むしろ花園としての精神病棟

丸山 めぐこ 丸善 1994年3月1日

最近、話題の本ということで手に取ってみたのだが、これは実に興味深い一冊だった。著者のうつ病との向き合い方が、これまで読んできた医学的な解説書とは全く異なる視点で綴られている。 80年近い人生を歩んできた身としては、精神の葛藤というものは誰もが少なかれ抱えているものだと感じてきた。しかし、この本はそうした悩みを「敵」ではなく、むしろ自分自身の一部として受け入れていこうとする著者の姿勢に心を打たれた。エッセイという形式だからこそ、素直な言葉で心情が伝わってくるのだろう。 「精神病棟を花園として」というタイトルの意味も、読み進めるうちに腑に落ちていく。自営業で長年、人間関係や経営の判断に悩まされてきた経験からすると、この著者の視点は新鮮であり、同時に深い教養に支えられたものだと感じられる。 高齢になってからでも、新しい視点を得られる本というのは貴重である。幅広い人に読んでもらいたい作品だ。