東野圭吾の作品は以前から興味があったものの、なかなか手を出せずにいました。しかし、このマスカレード・ホテルについては複数のレビューで高く評価されていたので、思い切って読んでみることにしました。 結論から申し上げると、期待以上でした。ホテルという舞台設定が秀逸で、様々な宿泊客が登場する中での潜入捜査という構成が、ページをめくる手を止められなくさせます。犯人が誰なのか、次の犯行がいつ起きるのか、という緊張感が最後まで途切れません。 特に印象的だったのは、登場人物たちの会話の巧みさです。警察官とホテルマンのやり取りの中に、さりげなく謎解きの手がかりが織り込まれており、読み終わった後に「あ、あそこがそういう意味だったのか」と気付く快感があります。 54年生きてきて様々な小説を読んできましたが、このようなミステリの醍醐味をこれほど洗練された形で体験したのは久しぶりです。会社帰りの電車の中でも、夜寝る前のわずかな時間でも、続きが気になって続けられました。慎重に本を選ぶ私だからこそ、自信を持ってお勧めできます。