話題の『同志少女よ、敵を撃て』をようやく読み終えた。アガサ・クリスティー賞受賞作だそうで、本屋でも目立つところに積み重ねられていたからな。 第二次世界大戦の独ソ戦を舞台にした小説だ。狩りの腕前を持つ少女セラフィマが、家族を失った悔しさから狙撃手として戦地へ向かう。人間ドラマとしての深さはもちろん、史実と創作がうまく織り交ぜられていて引き込まれた。 何より感心したのは、若い女性兵士たちの葛藤や友情が、実に生々しく描かれていることだ。題材は重いが、押しつけがましくない。むしろ淡々とした語り口だからこそ、響いてくるものがある。八十年も生きていると、戦争の時代も知識として持っているが、こうした物語を通じて改めて考えさせられることがある。 昨今の話題作の中でも、これは確かに読む価値のある一冊だ。人生経験が豊かな読者ほど、より多くの味わいが得られるような気がしてならない。